西口宗宏事件、一般社会に与えた影響は

今年こそは暮れになっても慌てぬ様にと、毎年同じことを思いながら、相も変わらず年の瀬も押しせまり何かとあわただしく・・・とは何処も同じくり返しであろうと思う。私のように小さいながらも仕事をしているものには、日本独特の盆と暮の贈答品の習慣がある。贈って下さる方々は、お世話になった・・・から、是非、相も変わらず来年もお取引をの気持ちが含まれている。

頂いて一番辛いのは、余り仕事を発注しなかった相手から頂くこと。大した仕事が余り出ていないので、決して心遣いをしないで欲しい・・・と告げているにも拘らず、贈られて来る場合。数百万円の工事になると相見積をとりお安い方に依頼するので、出してあげたいとは思っても、3割位の割高の差額は、嫌おう無しに、一方的にお安いほうに発注することになってしまう。

ある方からは毎年恒例のお林檎が届いた。これは彼自身の農場で採れたものなので遠慮なく頂いているが、加えて店舗で購入されたものも贈られて来る。私は、お林檎だけでお気持ちは十分だから・・・と常日頃伝えてはいるが、今年も例年通り送られてきた。当方に色々沢山贈って下さる理由をおっしゃったことがあった。

10年ほど前に自宅を新築された際『家の借金は一日でも早く返したほうが良い』と私が無意識に口にしたらしい。『少しでもお金が手元に残ったら、即銀行に返済しなさい。銀行では、返されるのを嫌がるかも知れないけれど構わず返したほうが良い』それを真面目に実行してきたため、20年ローンで組んだローンを10年経たずで借金全額返金してしまったとう。これは一重に私の一言なので、その一言のお礼と感謝も含まれているとのこと。

それまで彼の妻も時折一緒に仕事場に見えていらしたが、言われてみるとお金を稼ぐべく他所に働きに行かれたようだ。こんな心がけが立派な業者さんは、この不景気に体が間に合わないほどお仕事に恵まれているとのこと。我が家の修理も半年前に依頼したものの、どっちでも良い仕事と思われていて未だに手付かずである。

私は当たり前のことをひとこと言っただけである。自分自身借金は無いほうが良いと思っているので、多分無意識で誰にでも行っている私の『毎度の台詞』でもある。だからといって言葉を忠実に守り≪私にとっては覚えていらして実行され,お陰様で≫とお聞きするだけで嬉しいもの。感謝の気持ちを毎年繰り返し下さり嬉しい限りである。こんな時頂き物よりもこの感謝のお気持ちを思い出すだけで私は幸せを感する。

度々当ブロクで取り上げた尾崎宗秀さんと加害者西口宗宏は、これとは逆で、幼少時代から可愛がってくれた恩人とも言うべき相手を殺してしまった。西口宗宏は、幼少時代母親は尾崎さん宅の手伝いをしていた時も有ったらしい。12月10日当ブログの両者の関係が想像できる様な三角関係でもある。

亡くなった西口の母親がどんな方なのかニュース記事からは何も知ることはできないのが残念ではある。母親は何かして頂いた折、『感謝』を教えることは無かったのであろうか。

夕方駐車場で来客を見送っていると、通行人の中に見覚えがあるお顔がニコニコと私の顔を見て微笑んだ。よく見ると,これも8月19日付けのブログの主人公Aさん。タイ人のヒモになり、生活保護を需給していた40代の青年である。派遣ではあるが、前にいた会社から声がかかり、働き始めたそうである。『よったね』1時間ほどの道のりを徒歩で通勤している。自転車になることもあると立ち話ではある。

寒いからコーヒーでもと言いたい私ではあった。が尾崎さんの事件は、人様に親切にすることも憚れ、人を疑い人を信じてはいけない忠告のようにも受け取れる。西口宗宏の犯した2件の殺人事件は、一般市民である私にもこの様な思いにさせたことを想う時、二人を殺人したばかりで無く、社会的にはそれ以上の問題を含んでいる嫌な事件であった。